Tokyo City Univ.
Dept. of Urban Studies
Interior Planning LAB*

Tokyo City Univ. Dept. of Urban Studies Interior Planning LAB*

 共同研究・産学プロジェクト/PROJECTS_2

 
 
 
 
東京都市大学都市生活学部インテリアプランニング研究室で行っている産学共同プロジェクトをはじめ、各種企業様との共同研究、公共団体様からの受託研究事業も含めて紹介しています。テーマリストから気になるものを見てみて下さい。また、共同研究・研究の委託については下記リンク先のQ&Aを御覧ください。
 
 

 
 

【受託事業】米原市統合庁舎整備に向けた市民参加型公開ワークショップ

  1. 「新幹線駅前市庁舎」の整備に向けて

 「平成の大合併」をうけて発足した新生米原市。合併後10年経過するも、逼迫する庁舎面積の不足と既存ストック建築の老朽化から、合併特例債及び一般財源を事業費にあて、統合庁舎が動き出した。米原駅周辺にまちの核を据え創るとともに、核地域の特長を生かした未来につなぐ持続可能なまちづくりを進めるべく、統合庁舎の具体的な整備方針が庁舎等整備検討委員会にて示された。これをうけ本研究では、庁舎整備事業を地方創生の起爆剤とすべく、駅前立地の利便性を十分に発揮し、「地域に必要、まわりに便利」(地域・大域アクセシビリティ視点)、「魅力を伝える、情報を広げる」(広域PR・市民情報視点)、「気軽に利用、多目的に活用」 (市民活動・商工業支援からの視点)、「人が集まる、人を集める」 (シビックコア視点)、「未来をつくる、これからに投資する」(都市創生・人口定着視点)に重点をおいた基本構想を示す市民公開ワークショップを開催した。

  1. ワークショップ実施概略

 駅前立地の利便性を十分に発揮し、いかに未来の米原市民に寄与できる庁舎であり続けられるかを、市民・一般参加者の皆様から自由闊達な意見として表出させられるかであった。地域・大域アクセシビリティ視点、広域PR・市民情報視点、市民活動・商工業支援からの視点、シビックコア視点、都市創生・人口定着視点それぞれ重点をおき、若年層の意見やライフスタイルを考慮しながら、最も基本的な配置計画である0案、公共庁舎に用いられる事が多い1案、レキュリティゾーンを分割した2案を出発点にし、A案(駅前大規模商業地との面的連続性を考慮した広場型)、B案(JR米原駅との総合開発を視野に入れた市民広場分島型)の2案について、配置計画の検討項目と、市民広場の室内整備計画のアイデア模型を示した。またこれらの成果は、平成28年9月の検討会及び11月に開催した米原市公開市民ワークショップでも公知されている。
 
 ワークショップの準備・運営は、株式会社パシフィックコンサルタンツ・米原市役所政策推進課との協働のもと、東京都市大学都市生活学部インテリアプランニング研究室への委託事業として、主に3年生プロジェクト演習(SD-PBL型授業科目,Project Based Learning Class)での授業課題として敢行した。また本事業は、都市大・米原市・パシフィックコンサルタンツ株式会社の協働で進められた。
[実施運営体制]
◯東京都市大学 都市生活学部 高柳英明
/インテリアプランニング研究室3年生メンバー
◯米原市役所 政策推進課
○株式会社パシフィックコンサルタンツ
 

 

【受託プロジェクト】上野賃貸型集合住宅デザイン

 名古屋市上野の住宅街に、既存建物(3階建RC造)の老朽化から、新築建て直しを検討しているクライアントから若年層単身〜各家族向けの賃貸型集合住宅の企画・設計の依頼を研究室にて受託した。最寄り駅から徒歩12分と比較的利便性の低い土地であるため、地域オンリーワンの価値創造を図るべく、綿密な市場分析とインテリア計画により、FCR値(投資分析指標のひとつ)を高めに設定することとした。

 
 戦略としては、各住戸の専有面積はそのまま、共用部面積を多めに確保し(つまりレンタブル比を逆に下げるということ)、庭を持てない賃貸住まいに、ささやかでもグリーンに触れる空間を設けることで、設定賃料を高めに設定。また当該敷地は間口が広く、全面自走にて駐車区画が確保できるため、その区画を挟むかたちで階段室へのアプローチをとった。
 住戸計画もメゾネット・トリプレットを混在させ、玄関のあり方に多様なスタイルを持たせ「立体長屋風」の集合をかたちづくった。A案は4住戸タイプ、B案は5住戸タイプ。
【土地与件・規模計画】
 所在地:名古屋市千種区上野
 敷地面積:197,837㎡ /建築面積:251.5㎡
 建ぺい率 / 容積率:60%/200%
 用途地域:第2種中高層住居専用地域
 防火地域:準防火地域(路線防火)
 部屋構成:全4戸(A: 58㎡、B:59㎡、C:64㎡、D: 70.5㎡)
 駐車場:自走4区画

 

【科研費・基盤研究C】遠隔地における高齢者の自立生活支援のための住宅要件

 2025年の高齢者人口は30.3%になり、各種高齢者施設中心の介護・介助では対応しきれず、家族介護の負担増、特に家計や事情により同居不可能といった遠隔地介護のケースでは、相当の家族介護力が問われる。一方、子世帯に負担をかけず自立生活を求む高齢者側の意思を尊重するならば、遠隔介護・スマート介護システムを用いることで介護力増強に寄与できる。その際指針として必要なのは「どれだけ離れて暮らしても大丈夫か」「高齢者だけで生活できるのか」といった離隔距離や介助訪問頻度と、住宅側の自立生活支援の対応であり、本研究は、子世帯の経済的事情や高齢者の自立生活支援の観点から、遠隔介護システムを用いた高齢者住宅のあり方について、a)高齢者世帯と子世帯との離隔距離、介助訪問頻度、移動時間、移動手段についてのアンケート調査により立地要件の最適解を求めるとともに、b) 遠隔地にて上記遠隔介護システムを高齢者が自立して操作できる住宅の計画要件を実験を通じて明らかにすることを目的とする。

 
研究の意義
 老健局調査*のなかで、将来の自分に対する介護の希望形態にどんなものを望むかのアンケートに対して、家族・自宅に依存しない生活を望む回答は全体の67%にものぼる。現代人のレジャー活動の多様化や、若年層の生涯独身主義を看取するに、近い将来の生活者の超高齢期における尊厳保持は、自分らしいライフスタイルをいかに自ら実現していくかにかかっており、遠隔地に住みたいとする高齢者側の条件は、子世帯との離隔距離が近いほどよいとも言えず、都市部から離れ自然環境の豊かな土地を求めたり、生まれ育った地元を離れたくないという地域への土着・愛着も無視できない。本研究の立地要件モデルを用いることで、その距離がどれだけ介護に負担を及ぼすか、あるいは離れて住む際の緊急時の対応や心理的な不安感を軽減するスマートデバイスの選定と室内リノベーションに際し、明確な計画要件を示せることに意義がある。
[文科省科学研究費・基盤研究C、2017-2019 年度、研究代表者:高柳英明]
 

 

【科研費・若手研究B】空間の疲労回復性能 -リフレッシュ・アビリティを増幅させる採光方法とその指標化-

 
 住空間においては、そこでの作業の質や効率の向上を目指すのではなく、むしろ「いかに効果的な休息を提供できるのか」「いかにして蓄積されたストレスや疲労を効率よく解消させられるのか」といった逆の性能が求められるべきであり、従来の空間評価概念では扱われていない住空間本来の特性としての「休息効果」に着眼し、ごく客観的な被験者の生理状態の実験測定を基にした評価基準を策定することが必要とされる。 また近年のライフスタイルの変化に対応した良好な住環境を提供すべく、住宅の外的環境との接し方、特に窓や開口・スリット等を用いた自然光の採光方法に関し、特異な形状・仕様、形態の実験的な住宅設計事例が多く見られるようになったが、これらの特異な採光方法と住空間の性能を客観的に評価しうる基準整備が急務である。
 よって本研究は、住空間の「休息効果」に関わる性能を、空間の疲労回復性能と呼び、各種の生理計測手法を駆使することによってその定量化を試みることを目的とする。

 研究計画・方法
 自立接合式のユニットパネルにより四方壁面と天井面を有する単純形状の実験閉空間を構築し、壁・天井面については数種類の仕上色を、床面についてはカーペット・フローリング等、材質を異とする仕上材を適用し、また閉空間の広さに応じたイス・ソファー等のしつらえを用意し、可変空間条件とする。実験被験者数は12パタンの可変条件に対して各10名、合計120 名、被験者には直前まで別に用意した執務空間(大学内会議室などを利用)にてパソコン操作や文書作成といった定型化したパフォーマンステストを30分間行わせたのち、実験環境内に着座させ、自然にくつろいだ姿勢を取らせたまま30分間休憩させる。その後、再度別室にてパフォーマンステストを行わせる。その間下記のA~Cに示す3種類の生理状態の計測を実施し、この要領で執務-休憩-執務の状態変化にみられる疲労蓄積・回復度合いの推移を計測・抽出する。
A)「精神的疲労」の計測・・・フリッカー値
点滅する光を注視するとき、点滅の速度が速ければ、点滅が「ちらつき」として知覚 できず連続した光に見えるようになる。フリッカー値とは、このちらつきを「ちらつ き」として知覚できるかできないかの境界における光の点滅速度のことである。この 値は大脳機能の興奮性と正の相関をもち、その変化は精神的疲労の評定に利用するこ とができる。
B)「ストレス値」の計測・・・唾液中アミラーゼの分泌量
人間の体はストレスを受けると、その自己防衛反応として毒物の分解を促す消化酵素 を体内に分泌する。このとき消化酵素とともにアミラーゼも分泌される。そのため体 内のアミラーゼの分泌量の変動を調べることで精神的ストレスの増減の程度を相対的 に定量化することができる。
C)「作業集中度」の計測・・・瞬目値(瞬目頻度)
単位時間内のまばたきの回数(瞬目頻度)は、人間の作業に対する集中度の増大にと もなって減少することで知られている。パフォーマンステスト中の瞬目頻度を比較す ることで、休憩前後における作業に対する集中度の変動を定量化することができる。
[文科省科学研究費・若手研究B、2009-2011年度、研究代表者:高柳英明]
 

 

【共同研究】ラッチレスゲート導入下の駅環境の旅客流動シミュレーション

 
 本研究は、㈱JR東日本フロンティアサービス研究所との共同研究事業である。Suica等の非接触型ICカード乗車券サービスが社会に定着して久しいが、検札時に自動改札(ラッチ)をタッチ・通過することに起因し、流れの交差や滞留などが未だ生じている。これを完全非接触形式の「ラッチレス・ゲート」とした場合、これらの非定常な群集混雑がどれくらい低減させられるのかを、AI搭載型のエージェントモデルを用いた群集流動シミュレーションで評価しようとするものである。
 また同時にタッチ型Suicaを併用し、駅環境下での旅客誘導サービス向上を目指し「ローカルナビゲーション」「グローバルナビゲーション」のしくみを埒外空間に計画する場合、同AI搭載型エージェントモデルの可視化シミュレーションにて「混雑空間にあって見やすい位置に配置できるのか」「流れの停滞を生じさせないか」を検討・評価した。

【受託研究】大津市中心市街地のヒートアイランド現象を低減させる地域計画

 大津市都心地区温暖化対策地域協議会を通じ、㈱環境総合テクノスより依頼を受け、大津市中心市街地における自然資本を活かしたCO2排出削減の調査検証として、当該街区の「風の道」の様態把握と、より効果的な自然風の導入に向けたまちづくり・街区整備の方針を示す風洞実験・CFDシミュレーションを行った。

 研究目的
 昨今の地球温暖化対策や環境負荷軽減に加え、東日本大震災をはじめとする天災発生下での異常時・非常時における省エネルギー消費を目指した技術的取り組みが各分野から行われている。省エネルギー社会の実現に対して、夏季の日中における電力消費量の低減が須要的かつ効果的な課題であり、市民の都市生活レベルでは困難な巨視的かつ面的な対策において地理的特性・自然資本を利活用した環境共生型の都市・建築計画が求められている。本研究では、滋賀県大津市都心地域を対象とした風環境シミュレーションを通じ、夏季の利風効果を有する「風の道」創造に向けた街路樹の植樹デザインにおける風環境の検証を行うことを目的としている。
対象地域
 滋賀県大津市駅前通りの約1300m圏内は、琵琶湖湖岸への緩斜面地形と、湖陸風と呼ばれる特異な微弱風・季節風を有していることから、自然の利を活かした「風の道」確保に適している。

【受託事業】滋賀県庁舎と付帯施設の利活用にかかる提案

 本企画・提案は、大津市中心市街地にある滋賀県庁の庁舎周辺に存在する公共建物をとりあげ、それらが将来的に現状の公共施設としての利用・活用の役割を終えつつある事や、建物の老朽化による利用停止あるいはその予定にある事を鑑み、個々の建物の現状把握や敷地与件の整理をふまえ、大津市中心市街地活性化基本計画などの大津市のまちづくりの理念や県民意識調査等から得られた基本データをもとに、県庁周辺において新しい時代にふさわしい「にぎわい」を創出する観点から、期待されるまちの姿の基本的な考え方や、これに沿ったまちの機能、さらに、施設や土地の利活用策を検討し、今後の議論・意見交換の出発点として提案するものとする。本提案の対象となるのは、以下の1~3の区域にある県庁舎に隣接した5つの既存公共施設とする。
 1) 県庁別館・第二別館・体育文化館
 2) 滋賀会館
 3) 東別館跡駐車場

 
 大津市中心市街地は、琵琶湖湖岸、浜大津地区にほど近く、古くから『大津百町』と称され、物・人・文化の集まる港町・宿場町として発展してきた旧大津の中心であり、その賑わいぶりを今に伝える大津祭りや、現存する多数の町屋の佇まい等、賑わいと風格を湛えていることが特徴である。現在では、かつての商業都市としての活気は失われつつあるものの、昨今の中心市街地人口の増加や、幼年人口比の上昇などを機ととらえ、琵琶湖の自然景観と、大津百町の歴史的観光資源としての価値を活用し、自然の彩りに満ちた、落ち着きと風格のある生活・居住環境の創造・整備に期待が持たれる。
 
創出創出にかかる特性と課題
 県庁周辺地域の現状と課題を踏まえた、この地域の特性と課題をまとめると、特性a)JR大津駅に近接し交通の利便性が良好であり京阪神へのアクセスが良好、特性b)徒歩圏内(半径 900~700m 以内)に街全体がおさまるコンパクト性、特性c)県庁を中心とした国・県の行政機関や関連する企業や団体の事務所が集積 、特性d)琵琶湖に近いという自然環境の良さ、特性e)旧東海道や天孫神社等に近接し、歴史ある町屋が残る落ち着いた街並み、特性f)県庁に隣接し恒久的に眺望が望める「パークビュー※1」としての高い不動産価値
 課題としては、A)市内・県内からの住み替え族、ニューカマー等を受け入れる居住環境の整備、B)安心・安全な居住環境に相応しい落ち着きと 賑わいを持った街並みの形成(→セルフディフェンシブル・ファサードの形成※2)、C)多世代が安心して暮らせる高齢者福祉サービス、子育て支援サービス、医療施設の充実、D)気軽に集え休憩できる公園、ポケットパーク、緑地帯の整備があげられる。