インテリアデザインのためのAutodesk FUSION講座
始める前に:
本ページは東京都市大学都市生活学部で開講している2年次演習科目『都市デジタルシミュレーション3』のインテリアBIMコースにて扱うAutodesk FUSIONについて解説している。7週14回の限りある時間を効率的に進めるべく、必要最低限のスキルのみを研ぎ澄ます方法を示す内容になっている。したがってわかりやすさ・丁寧な解説を求めるならYoutube等でFUSION講座を視聴することをおすすめする(が、動画コンテンツは単なる時間泥棒になる事が多いので個人的には反対)。
初級編:ペン立てのモデリング
FUSIONは多機能・複雑なモデリング環境であるが、使うツールは限られている。スケッチ、押し出し、結合、面をオフセットくらいである。それらを使ってまずは簡単なペン立て(W160xD160xH200、肉厚6mm)に挑む。ブラウザで「原点」を表示させ、ソリッド>スケッチを選んだのち、XY平面(底面)を選ぶとそこにペン立ての断面がスケッチできる。
スケッチとは文字通りスケッチであり、書いては捨てる下書きなので、軽い気持ちで描画する。スケッチツールもよく使うものは画像の通り。また拘束ツールとは、水平・垂直・直角・固定・一致などを制御するものであり、基本は図に示したものがタブに並んでいれば使いやすい。前述同様、ツールプルダウン>更に右端3つドットマークを選びピン留めして使う。不要なものは同じくピン留めを外す。
レクタアングル(四角形)描画ツールで160mmx160mmの正方形をまずかく。線描画ツールでも描けるのでどっちでもよい。寸法の与え方はタブキーで数値入力、単位はmm。半角で。
次にオフセットツールでペン立ての厚み線T=6mmを内側に描く。このときオフセット設定パネルで「チェーン選択」をONにすると一気に4辺が選べる。OFFにすると選択した線分のみオフセットする。
ここでマウス-画面操作について(ホイール付きマウス必須)、ホイールスクロールで拡大・縮小表示。ホイールドラッグで画面移動。Shiftキー押しホイールドラッグで画面回転(オービット回転/拘束オービット回転)できるが、なれないうちは拘束オービット回転モードにしておく。迷ったら画面右上のビューキューブのホームボタンを押す。
断面描画が終わったら『スケッチを終了』。すかさず押し出しツールで断面を選び、H=200mm入力すればペン立てのガワが出来上がる。
ここで便利な機能『計測』ツールを覚えておく。これは2つの線・面・ホール等の距離や展開長などを調べる際にとてもとても便利なので覚えておく。この先モデリング作業が混んでくると「あれここいくつだった?」を調べる際にとてもとても便利。
次にペン立ての底板をつくる。再びスケッチツール選択し、ガワの下端面クリックするとその面にスケッチが描ける。ここに底板のアウトラインを描く。断面+30mmとし、厚さ6mmとする。
描けたらスケッチ終了し、押し出しツールで下端面+6mm押し出し。このとき、押し出しプロフィールを3つ選ばねばならない。また押し出しツールパネルで「新規ボディ」にすること。FUSIONはとても効率のよい環境であるため、押し出しした結果がほかの物体と貫入していれば勝手に切り取り・結合をしてしまうが、初級のうちは「新規ボディ」にしておくのが吉。
ここでFUSIONの真骨頂であるモデリング系譜編集(名前は勝手に付けた)してみる。ペン立ての厚み6→12mmにすべく、画面下端のタイムラインで最左のスケッチフィーチャをダブルクリック。すると一度モデリングしたものを後で編集できる。FUSIONはモデルの結果だけでなく、フィーチャ(作業や手続き)の系譜を記録できる。
スケッチフィーチャで厚み6mmをダブルクリックし、12mmと入力。スケッチ終了でサイズ変更できた。数値モデリングを特に一般的にパラメトリック・モデリングという。
底板6→12mmは押し出しフィーチャをダブルクリックし、6mmで押し出しした履歴を12mmに書き換える。(12か-12かどちらか)
最後に2つのパーツを結合ツールで1つにする。A+Bが結合、A-Bが切り取り。ちなみに3Dプリンタ出力するSTLファイルは、この結合で1パーツにしておく必要がある。
家具は人間の手に触れるため、部材の端部を処理する必要があったりする。まずは面取りツールで、底板の角張った4セグメントを選び、2-6mm程度の面取りをしてみる。
あわせてフィレットも覚えた方がよい。手で握ったりするものはクリスピーかつ面的な面取りよりも丸みを帯びた面にしたほうが優しい。フィレットツールを選び、丸めたいセグメントを選び、半径(直径)を与え円筒(角は球形)にする。図のようにフィレットする場合としない場合、コーナーのディテールがそれぞれ違ってくる。
FUSIONは先に述べたようにフィーチャ履歴から編集ができると同時に、面の操作で直感的な編集も可能。ペン立ての筒部分の1面と、底板面1面を選択し、移動ツールでY方向に100mm移動させ図のように編集する。
筒上部面にスケッチ作成、直径60mmの円を描き、スケッチ終了、押し出しツールで円筒形状の穴をあけ万年筆立てにする。押し出しツールパネルで押し出し距離をきめる際、数値入力でも可能だが、特定の面・点・セグメントをピックすることでも決められる。その際、いま描いているスケッチが邪魔でピックできない場合は、ブラウザから当該スケッチレイヤを消しておくといい。
ペン立てはこれにて終了。ちなみに上述のスキルがあれば下図のような加工は説明を受けなくても作れるはずである。自力でやってみるべし。
初級編:花瓶
次も初級編、ペン立ての隣に置く花瓶をつくる。またこのあたりから諸君の理解度も上がっていることであろうから解説文も簡潔にしていく。花瓶は一般的に回転体なので、中心軸と断面形状だけあれば造形可能。よってXZ平面にスケッチ作成。
線分ツールでまず中心軸を描く。書いたら補助線に切り替え固定ツールで固定する。次にその中心軸の右側か左側に、花瓶の半身の断面形状を書く。花瓶のサイズはおおよそH=300、肉厚8mm以下であればどんな形でもよい。
寸法ツールであとからH=300を指定してもよい。測りたい(指定したい)2部位を順にピックし、代入値入力。
最終的に閉じた半身断面ができればOK。このとき青ベタハッチングが現れ、閉じた図形になっていることを明示する。しなければ編集続け適切に処理する。
回転ツールを選び、プロファイル(半身の断面図形)、回転軸の順にピック、回転角を指示し完成。つまり360度で完全な回転体になる。
ブラウザのボディフォルダで花瓶のボディを探し「かびん」など名称付けしておく。
さてこの花瓶にハンドルをつける。XZ平面に図のような断面形状とパスをかく。
すかざす移動ツールで断面形状の方向と位置を編集。移動ツールには平行移動アローの他、3軸回転ハンドルが現れるので、パスを法線とする位置関係に持っていきたいが、その際便利なのはピボット設定である。移動ツールのピボット設定をピックすると3軸アロー&ハンドルが現れるので、パス線上を回転中心にすべく、ピボット設定する(グリーンのチェックボタンを押すことで確定)。
スイープツールをピックし、プロファイル、パスの順にこれらを選択。花瓶のハンドルを完成させる。
が、しかし、少々角張ったハンドルになったので、優しさ・手触りを考慮しR処理をする。スケッチフィーチャを開き、スケッチのフィレットツール(モデリングのフィレットではない)を選択、適宜R処理。 欲を出してミラー反転コピーしてみたがどうも格好悪い。 したがって反転コピーしたものを削除したいが、初学者が注意すべきなのは、削除ツールはむやみに使ってはいけないことである。FUSIONは多くのモデリングフィーチャを形状に乗せて履歴を残すので、うっかり削除するとこの系譜も消える事になる(場合もある)。なので消去ツールを使うこと。 以上が花瓶モデリングである。次はテーブルを造形する。
が、しかし、少々角張ったハンドルになったので、優しさ・手触りを考慮しR処理をする。スケッチフィーチャを開き、スケッチのフィレットツール(モデリングのフィレットではない)を選択、適宜R処理。 欲を出してミラー反転コピーしてみたがどうも格好悪い。 したがって反転コピーしたものを削除したいが、初学者が注意すべきなのは、削除ツールはむやみに使ってはいけないことである。FUSIONは多くのモデリングフィーチャを形状に乗せて履歴を残すので、うっかり削除するとこの系譜も消える事になる(場合もある)。なので消去ツールを使うこと。 以上が花瓶モデリングである。次はテーブルを造形する。